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登記

株式会社設立登記の申請方法

株式会社設立登記に関する用語

始めに株式会社設立登記に関する用語を説明します。

定款

定款とは株式会社を運営するための規則です。定款の内容は株主が決めますが、株式会社設立時の定款は発起人が作成します。定款には株式会社の商号、本店、役員の選任方法など株式会社運営において重要な事項が定められています。また、株式会社設立登記の申請書には公証人が認証した定款を添付します。

発起人

発起人とは株式会社の設立時の株主で、株式会社の設立手続きを行う者です。株式会社の設立手続きとは株式会社の定款を作成し、公証人の認証を受け、出資金を払い込み、役員を選任する手続き等をいいます。

発起設立

株式会社の設立手続きには発起設立と募集設立があります。発起設立とは株式会社設立時の株式すべてを発起人が引き受ける手続きです。

募集設立

これに対し、募集設立とは発起人以外の者も株式会社設立時の株式を引き受ける手続きです。

履歴事項証明書

株式会社の存在は法務局が発行する履歴事項証明書で証明します。よって、銀行口座開設、許認可、税務署への届出、社会保険加入手続きなどでは履歴事項証明書が必要です。なお、履歴事項証明書は株式会社設立登記が完了した後でなければ取得できません。

印鑑証明書

株式会社は法務局にその印鑑を登録することができます。印鑑登録をすることで法務局で印鑑証明書を取得できます。そして、この印鑑のハンコを会社実印といいます。また、印鑑証明書を取得するには予め印鑑カードの交付を受けなければなりません。

本店所在地

株式会社の本店の住所の内、最小行政区画までの部分を本店所在地(会社法27条3号)といいます。例えば株式会社の住所が島根県松江市殿町一丁目1番1号の場合、島根県松江市までの部分が本店所在地です。定款では本店所在地まで定めれば足ります。

本店所在場所

これに対し、本店の住所全ての表記を本店所在場所(会社法911条3項3号)といいます。先の例でいえば、島根県松江市殿町一丁目1番1号の表記すべてが本店所在場所です。

なお、定款で本店所在地まで定めている場合は株式会社設立登記申請書に本店所在場所を定めた発起人の同意書を添付します。

書面申請

登記申請にはオンライン申請と書面申請があります。書面申請では登記申請書を書面で作成し、添付書類と一緒に管轄法務局に持参又は郵送します。また、書面申請にはQRコード(二次元バーコード)付き書面申請もあります。

オンライン申請

オンライン申請とはインターネットで行う登記申請です。オンライン申請では申請用ソフトをパソコンに入れ、登記申請書などに電子署名をして登記を申請します。

ところで、定款認証においては紙定款ではなく、電子定款を作成すると印紙代を節約できます。しかし、株式会社設立登記申請においては紙申請ではなく、オンライン申請をしてもこのような金銭面の利点はありません。

以上が株式会社設立登記に関する用語です。

株式会社設立登記申請の流れ

次に株式会社設立登記申請の流れを説明します。ここでは発起設立を書面申請で行う場合の流れを説明します。


  • 手順1

    発起人が定款を作成し、公証人の認証を受けます。


  • 手順2

    定款で定めていない事項を発起人が定め、発起人の同意書を作成します。「定款で定めていない事項」については後で説明します。


  • 手順3

    発起人が出資金を払い込みます。


  • 手順4

    法務局に提出する株式会社設立登記申請書を作成します。申請書のひな形はネットで「株式会社設立登記申請書 法務局」で検索すると、法務局のページからダウンロードできます。


  • 手順5

    株式会社設立登記申請書、収入印紙、添付書類、印鑑届書及び印鑑カード交付申請書を管轄法務局に提出します。なお、株式会社設立登記申請書を法務局に提出し、受付された日が株式会社の設立日です。(法務局に書類を提出する前に、法務局の無料相談で書類に不備がないか確認してもらうと申請手続きがスムーズに進みます。)


  • 手順6

    登記完了後、最寄りの法務局で株式会社の履歴事項証明書及び印鑑証明書を取得します。


以上が株式会社設立登記申請の流れです。

株式会社設立登記申請の添付書類

次に株式会社設立登記申請の添付書類を説明します。ここでは発起設立を書面申請で行う場合の添付書類を説明します。

定款

公証人が認証した定款を添付します。よって、発起人は株式会社設立登記を申請する前に定款認証を受けなければなりません。

発起人の同意書

株式会社設立登記申請をするには、定款記載事項のほかに定めなければならない事項があります。ここではこの事項を「定款で定めていない事項」といいます。

「定款で定めていない事項」は発起人が定め、その内容を記載した発起人の同意書を作成し、発起人が記名します。

また、定款で定めていない事項とは

  • 発起人に割り当てる株式の数及び発起人が払い込む金額
  • 本店所在場所
  • 資本金の額
  • 設立時取締役及び設立時代表取締役

などです。

就任承諾書

取締役や代表取締役の就任承諾書を添付します。この就任承諾書には個人の実印を押印します。

印鑑登録証明書

就任承諾書に押印した者の市区町村発行の印鑑登録証明書を添付します。

払込証明書

払込証明書とは出資金が払い込まれたことを証明する書面です。具体的には発起人代表者の預貯金口座に各発起人が出資金を振り込み、その預貯金口座通帳をコピーします。また、払込みを受けた出資金総額及びそれに対応する株式数を証明する書面を作成し、設立時代表取締役が記名します。

印鑑届書

株式会社のハンコの印鑑登録をするための届書です。

印鑑カード交付申請書

印鑑カードを交付してもらうための申請書です。

以上が株式会社設立登記申請の添付書類です。

株式会社設立登記申請書の書き方

最後に株式会社設立登記申請書の書き方を説明します。ここでは発起設立を書面申請で行う場合の申請書の書き方を説明します。

商号

定款記載の商号を記入します。

また、フリガナはカタカナで記入し、「カブシキガイシャ」の部分の記入は不要です。

本店

本店には本店所在場所を記入します。

登記事由

「令和年月日発起設立の手続終了」と記入します。この日付は株式会社設立登記申請の準備が完了した日です。

登記すべき事項

登記すべき事項には登記事項となる情報を定款、発起人の同意書、印鑑登録証明書及び払込証明書のとおり正確に記入します。

登記事項となる情報とは例えば、商号、本店、公告をする方法、目的、発行可能株式総数、発行済株式の総数、資本金の額、株式の譲渡制限に関する規定、役員に関する事項、登記記録に関する事項です。

「商号」○○株式会社
「本店」島根県松江市殿町一丁目1番1号
「公告をする方法」官報に掲載してする。
「目的」
1 洋菓子の製造販売
2 前各号に附帯する一切の事業
「発行可能株式総数」400株
「発行済株式の総数並びに種類及び数」
「発行済株式の総数」100株
「資本金の額」金100万円
「株式の譲渡制限に関する規定」
当会社の株式を譲渡により取得するには,当会社の承認を受けなければならない。
「役員に関する事項」
「資格」取締役
「氏名」A
「役員に関する事項」
「資格」取締役
「氏名」B
「役員に関する事項」
「資格」代表取締役
「住所」島根県松江市殿町一丁目1番1号
「氏名」A
「登記記録に関する事項」設立

 

課税標準金額

課税標準金額には資本金の額を記入します。

登録免許税

登録免許税にはその金額を「金〇〇円」と記入します。登録免許税の金額は資本金の額の0.7%の値です。但し、この値が15万円未満の場合は15万円です。

添付書類

添付書類には「定款」、「発起人の同意書」、「就任承諾書」、「印鑑登録証明書」、「払込証明書」と記入し、それぞれの通数も記入します。

末尾

最後に、「上記のとおり登記の申請をします。」という文言、申請日、本店、商号、代表取締役の肩書・氏名、連絡先及び管轄の法務局名を記入し、法務局に届け出る印鑑を押印します。

また、管轄の法務局は設立する株式会社の本店を管轄する法務局です。ネットで「(都道府県名) 商業登記 管轄」と検索すれば管轄法務局が出てきます。

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