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遺産分割協議

遺産の分配

遺産分割協議の定義

遺産

被相続人が遺した財産。相続財産。

分割

いくつかに分けること。

協議

集まって相談すること。

遺産分割協議

誰がどの遺産を取得するか、最終的に決定する話し合い。

MEMO
「分割」は「遺産という物体自体を分ける」という意味と「遺産の共有状態を別々にする」という意味があります。
「遺産という物体自体を分ける」の例

1つの土地を区切り、東側を長男、西側を二男が取得する。

「遺産の共有状態を別々にする」の例

松江市の土地は長男、出雲市の土地は二男が取得する。

遺産分割協議の要件

遺産分割協議は相続人全員の同意がなければ無効です。

相続人全員が同意するには、相続人全員が本人の意思に基づいて意思表示できることが前提です。

したがって、相続人が行方不明の場合や、認知症などの場合は遺産分割協議が成立しません。

その場合は遺産分割協議前に別途手続が必要です。

遺産分割協議の効果

遺産分割がされる前の相続財産は、相続人が各々の相続分に基づき共有しています。

相続財産をどのように分配するかは相続人全員の合意の下、自由に決めることができます。

また、遺産分割の内容に争いがある場合は、各相続人の相続分を基に協議がされることになります。

遺産分割によって、相続財産の共有状態が終わり、相続財産の最終的な帰属先が決まります。

相続登記や預貯金の相続手続きにおいて、複数の相続人の内、1人が相続財産を取得する場合は、遺産分割協議をする必要があります。

遺産相続人が認知症

意思能力

意思能力とは自己の行為の意味を理解・判断する力です。

通常、認知症の方は意思能力がありません。

意思能力がない方を、ここでは便宜上、「意思無能力者」と呼びます。

遺産分割協議を成立させるためには相続人全員が意思能力を有していなければなりません。

代理人

意思無能力者は遺産分割協議をすることができません。

相続人の中に意思無能力者がいる場合、遺産分割協議を成立させるためには、意思無能力者の代理人を立てる必要があります。

成年の場合

意思無能力者が成年の場合は、遺産分割協議をする代理人として成年後見の申立てを行います。

成年後見を申立てた結果、成年後見人が選任され、成年後見人が意思無能力者の代理人として、遺産分割協議をします。

制度趣旨

ここで注意すべきことは成年後見制度は、認知症や障害をお持ちの方の財産保護のための制度であることです。

すなわち、成年後見制度は、成年後見人が、認知症や障害をお持ちの方の財産を適正に管理し、必要な範囲内で認知症や障害をお持ちの方の財産を処分するために存在します。

そして、その成年後見人の一権限として、遺産分割協議をする権限があります。

したがって、遺産分割協議をするために成年後見を申立てる行為は、成年後見制度の趣旨からすると、目的と手段を逆にしている行為と言えます。

遺産分割協議をするために成年後見を申立てることに制度上の問題はありませんが、成年後見制度をよく理解した上で、それを利用しなければ、後に本人や後見人に予想外の負担を強いることになります。

申立人の負担

また、遺産分割協議をするために成年後見を申立てる場合は、親族が成年後見の申立人となります。

成年後見の申立ては申立人にとって、費用面でも手続き面でも負担を強いることは否めません(申立費用の負担、後見人候補者の選任、後見人の報酬源の確保など)。

遺産分割協議の成立が急ぎでなく、意思無能力者がご高齢であれば、その方が亡くなってから、遺産分割協議をするという選択もあります。

遺産相続人が未成年

行為能力

行為能力とは単独で確定的な意思表示をする力です。

未成年者は行為能力がありません。

MEMO
スマホの契約で親権者の同意が必要なのは、この行為能力による契約の制限を受けるからです。

行為能力がない方を、ここでは便宜上、「行為無能力者」と呼びます。

相続人全員が行為能力を有していなければ、確定的な遺産分割協議をすることができません。

代理人

親権者は親権に服する子の財産処分につき包括的な代理権を有しています。

よって、原則、親権者はその親権に服する子に代理して遺産分割協議をすることができます。

特別代理人

しかし、親権者がその親権に服する子に代理して遺産分割協議をすることができない場合があります。

それは、親権者と、その親権に服する子が共に相続人である場合です。

この場合は、未成年者のために遺産分割協議をする代理人(=特別代理人)の選任を裁判所に申立て、特別代理人が未成年者に代わって遺産分割協議をします。

MEMO
親権者と、親権に服する子が共に相続人である場合は、双方の利益が相反する関係にあるので、親権者の適切な代理行為が期待できない。

申立人の負担

特別代理人は遺産分割協議が終われば業務が終了しますので、特別代理人の負担は後見人のそれよりは軽いです。

特別代理人の申立は親権者が家庭裁判所に申立てます。

また、未成年者が成年に達するまで待てば特別代理人を申立てる必要はありません。

遺産相続人が行方不明

不在者財産管理人

相続人の1人が行方不明の場合は、その行方不明者の代理人(不在者財産管理人)の選任を家庭裁判所に申立て、不在者財産管理人が行方不明者の代わりに遺産分割協議をします。

不在者財産管理人には通常、弁護士か司法書士が選任されます。

申立て

管轄

不在者の最後の住所地の家庭裁判所。

流れ

手順1
捜索
行方不明者を探す(聞き込み、住民票、郵便物など)。
手順2
申立て
家庭裁判所で不在者財産管理人の選任申立てをする。
手順3
選任
家庭裁判所が不在者財産管理人を選任する。
手順4
遺産分割協議
家庭裁判所の許可の下、不在者財産管理人を含めて遺産分割協議をする。
 

費用

専門家報酬

  • 申立を専門家に依頼する場合はその報酬

裁判所へ納付

  • 不在者財産管理人の報酬に充てられる予納金(数十万円)
  • 予納切手(数万円)

遺産分割協議書の書き方

被相続人の表示

  • 本籍地
  • 住所地
  • 氏名
  • 生年月日
  • 死亡日

内容

最初の行

被相続人の死亡により開始した相続につき、相続財産について次の通り取得することに相続人全員が同意した。

預貯金

相続人〇〇は下記の預貯金を取得する。

  • 金融機関名
  • 支店名
  • 種別(例:普通、定期)
  • 口座番号
注意
具体的な金額を記入すると、利息計算がややこしくなる。

不動産

相続人〇〇は下記の不動産を取得する。

土地の表示
  • 所在
  • 地番
  • 地目
  • 地積
建物の表示
  • 所在
  • 家屋番号
  • 種類
  • 構造
  • 床面積
MEMO
不動産の登記事項証明書を見て記入する。

動産

相続人〇〇は建物内の動産を全て取得する。

その他

本協議書記載以外に新たに財産が発見された場合は相続人〇〇が取得する。

最後の行

上記の通りの協議が成立したことを証するため、相続人全員が署名捺印する。

代償分割

概要

代償分割とは、相続財産を取得する代わりに、金銭を支払うことです。

例えば、不動産は現金と違い相続人間で均等に分けることができません。

そこで、代償分割により、不動産を取得する者が、不動産を取得しない者に対して相続分に相当する金銭を交付することにより合理的に遺産分割を行うことができます。

内容

第1条 相続人〇〇は不動産全てを取得する。

第2条 第1条の代償として、相続人〇〇は、相続人△△に対して金500万円を支払う。

遺産分割協議書作成の専門家

遺産分割協議書の作成業務は弁護士か行政書士です。

但し、遺産分割協議書は作成して終了という訳ではありません。

遺産分割協議の作成は相続登記、相続税申告、預貯金解約などの相続手続きの一過程に過ぎないことが多いです。

遺産分割協議書の作成を専門家に依頼する場合は、その目的を明確にしなければ、最終的な目的に最短経路で達することができません。

相続登記 相続の基礎